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宮本常一 著 「忘れられた日本人」を忘れるな

2年前、周防大島に行った。

 

山口県の小さな島だ。

 

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島の展望台より

 

柳井から大島大橋を渡るとそこが周防大島だ。

 

車で走って1時間もかからずに一周できる小さな島。

 

大島大橋は昨今、貨物船が衝突したことでも

ニュースで名前が知られている。

 

宮本常一周防大島の出身だ。

 

島には宮本常一を記念したミュージアムもある。

 

あいにく滞在したときには立ち寄れなかった。

 

同行者が誰も民俗学などに興味もなかったのだ。

 

さて民俗学

 

宮本常一とは民俗学の学者である。

 

民俗学とは自分たちの生活の成り立ちを知ろう

とする学問だ。

 

例えばお盆の習慣がどうやってできたか。

 

山岳信仰がどうやって栄えたか。

 

東海道とはどういう道だったか。

 

私たちが立っている地面がどんな過去と

繋がっているかを調べる。

 

私たちが普段やっていることが昔のどんな

生活と繋がっているかを掘り下げる。

 

では我々は我々のルーツをどうやって探れば

いいのだろうか。

 

一つには文字がある。

 

古い資料を探して、解読する。

 

例えば魚の取れ高を何十年も記録している巻物がある。

 

それを調べる。

 

宮本常一の「忘れらた日本人」という本には

そんなシーンも出てくる。

 

しかし「忘れられた日本人」で宮本が日本人の

なんたるかを探った方法は古文書がメインではない。

 

聞いたのだ。

 

宮本は自分の足で歩いて、各地で人に直接話を

聞いたのだ。

 

それぞれの部落にいる伝承者たち、一人一人に

話を聞いてきた。

 

他にも乞食や瞽にも平気で話を聞いた。

 

話を聞くために日本中を歩き回ったのだ。

 

そういう旅ができた時代でもあった。

 

宮本がどのように日本を歩いたのか、どのように

人に話を聞いていったのかがあとがきに書かれている。

 

だから先にあとがきを読んで、それぞれの話を

読んでいくことをオススメする。

 

私が好きなのは土佐源氏という話だ。

 

日本人の性の捉え方がよく書かれていて

面白い。